学生投資家相場奮闘記

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WACCとは何か 加重平均資本コストを考える

Weighted Average Cost of Capitalの頭文字をとってWACCと言います。加重平均資本コストです。これは会社が1円を調達するのにどれだけのコストがかかっているかの数値です。すなわち会社に資本を提供している

CAPM(株主資本コスト)に関してはほかの記事で解説しています。これが自己資本の部分のコストでバランスシートの右上部分の有利子負債のコストを考えます。


で(1-t)の部分が何なのか気になると思います。支払利息は税法上の損金として扱われ、その金額に応じた節税効果があるため、コストの計算にはそれも加味しなければならないのです。この負債コストはようは金利のことなのですが、正確に把握するのは難しいので現在の借入の利子率を用います。節税効果にもう少し触れておくと会社に対して金利が3%でも実質負担は1.8-2.1%くらいです。


企業価値は配当やFCFをWACCで割り引くのですが(成長率は一旦0とします)これ有利子負債コストのほうから有利子負債を増やして、 株主資本を減らすと企業価値が向上するのでは?と思われる方もいるかもしれません。


税金のない世界において考えます。借入金を増やしたとします。このとき加重平均の割合が変化していることを忘れないでください。借入金の返済って配当よりも優先して行われるんです。借入が増えるのは株主にとってリスクが増えてるんです。こうなると株主の要求リターンは増加します。資本構成の変化は株主資本コストの増加で打ち消されることで、WACCは変わらないということになっています。


ただ借入を増やすことは財務レバレッジに相当します。別の記事でROEについて書こうと思っていますが、ROE:Return on Equityとは自己資本利益率のことです。純資産からどれだけ効率的に稼いだしているかを表していますが、これを構成要素に分解したとき一つの要素として財務レバレッジという形でROEを押し上げる効果を持っています。財務レバレッジだけによる高いROEは無意味ですが、適度なレバレッジは効率性を高める上で有用です。